「目から鱗が落ちた。こんな面白い映画を1975年の日本は作っていたのか」
「どんな映画?」
「タンカーのシージャック」
「それが面白いの?」
「そうだ。映画のセンスが数十年は先進的だ」
「どこがそれほどいいわけ?」
「中二病じゃないからね」
「は?」
「人類滅亡なんて話はどこにもない。しかし、これは本当の危機だ」
「具体的に列挙してよ」
- 話のスケールが小さいが、実は足が地に着いていて別の意味で大きい
- 特撮で誤魔化すのは、アルゴの何年先を行っているのか
- 船はほとんど本物。特撮は少ない。しかも、特撮シーンで特撮を使う
- 敵の内部分裂 (貫徹されていない理想)
- 犯人が使っていたBCLラジオは、スカイセンサー5800ないし、それに似た機種らしい
「本物ならいいのかよ」
「そうだ。外国の映画でも本物が出てくるとグッと存在感がアップする場合があるが、本物の兵器がほとんど残っていない日本では本物を使うハードルが高い。しかし、タンカーなら話は変わる。太平洋戦争の軍艦はほとんど残っていないが、タンカーはいくらでも本物を使って撮影できる」
「戦いよりも本物?」
「ちゃちな特撮で戦うよりも本物の船の存在感の方が上」